エンゼルケアで困った時の対処方法

ご遺体に対してエンゼルケアを施す際に、口を閉じるように促したにもかかわらず、口を開けた状態に戻ってしまうことがある。口腔内の乾燥を防ぐためにも、口を閉じることは必要である。看護師はまず、丸めたタオルをあごの下に当て、下あごを持ち上げるといったケアを施す。それでも、口が閉じない場合は、顎バンドなどを使って縛るといった対処法もある。しかし、顎バンドなどによる固定で、縛った部位がうっ血して、顔が腫れ上がって膨張してしまうことも想定される。帰宅後に固定を外すように促すことも忘れずにする。また、一度閉じた口が緩んで、数日後にまた開く、といったケースも考えられる。ご遺体の口の開閉については、ご遺族との相談の上で決めるとよい。

一般的には、臨終を告げた後、ご遺族の了承を得て、閉じていない目の上から、瞼を手で撫でおろすようにして目を閉じる。しかし、そのときに目を閉じないこともある。その場合、看護師がエンゼルケアの一連で行うメイクの中で、額から徐々に撫で下していくと、顔全体が緩み始め、瞼が自然に閉じることがある。

それでも閉じない場合の対処として、二重瞼用の化粧品を使うことがある。糊状の化粧品であるため、瞼のふちに接着することで、目を閉じるといったこともできる。眼球の乾燥を防ぐために、乾燥が進まない段階で眼球に油分をつけるケアを施すが、目を閉じることは重要視される。ご遺族の心に寄り添い、納得できるようなケアの方法を見つけると良いだろう。